ゲームFGO「Fate/Grand Order」のブラダマンテのかけ声である「もんじょわー」。
実はこの掛け声、中世から使われていたフランス語なんです。
FGOのゲームでは以前「モンジョワ(我が喜び)」と訳されていたんですが、フランス語では「エイエイオー!」とか「国王万歳!」という意味の掛け声なんです。
現代ではもう使われない古いフランス語なんですが、2021年6月にフランスのマクロン大統領に平手打ちした犯人が「モンジョワー!サンドニ!」と叫んだため、フランスでも大変話題になりました。
「もんじょわ~」とフランス現地で言うと極右翼思想と思われてイスラム系民族を挑発してしまう可能性もゼロではありませんのでご注意くださいね。
ではモンジョワの意味について詳しく解説します!
フランス語「モンジョワ」の意味

「モンジョワ」には大きく分けて2つの意味があります。
- 石塚としてのモンジョワ
- 勝鬨(かちどき)としてのモンジョワ
詳しく説明しますね。
石塚としてのモンジョワ
- モンジョワ(Montjoie)の意味
- 石塚、道しるべ、記念碑
「モンジョワ」は中世時代から存在する、石でつくられた「道しるべ」や「石塚」の意味なんです。
いまでもフランスの田舎や村を歩くと、中世時代の遺跡としての「モンジョワ(Montjoie)」を見つけることができます。

い、いしづか?
しかし、このモンジョワはFGOのゲームで叫ばれているモンジョワではありません。(意味不明ですよねw)
もともと「モンジョワ」は「モンジョワ、サン=ドニ!」という1つのフレーズとして中世ヨーロッパで使用されていました。
それが次の項でご紹介する掛け声としてのモンジョワなんです。
勝鬨としての「モンジョワ、サン=ドニ!」(Montjoie, Saint Denis!)
- モンジョワ、サン=ドニ!(Montjoie, Saint Denis!)の意味
- フランス国王陛下バンザイ!という意味の鬨(とき)の声
「モンジョワ、サン=ドニ!」は、中世フランス(11世紀前後のカペー朝)の騎士や王党派が発した「フランス国王陛下バンザイ!」という意味の鬨(とき)の声なんです。
日本に置き換えると、「天皇陛下万歳!」に近いですね。
勝鬨(かちどき)というのは、「エイエイオー!」 のように、戦(いくさ)で兵士の士気をあげるための掛け声のこと。
モンジョワサンドニ自体は、ふだんの生活ではもう使われることのないフレーズなんですが、ジャン・レノ主演のフランス映画『おかしなおかしな訪問者』で「モンジョワ~サン=ドニ~!」の言葉が登場します。
この『おかしなおかしな訪問者』はちょっと古い映画なんですが、中世フランスが舞台のコメディ映画で結構面白いですよ。


補足:サンドニとは?


なぜ「サン=ドニ」という言葉がつくのかというと、サン=ドニとは、フランス国王の守護聖人ディオニュシウスのこと。
聖ドニとも呼ばれます。
ディオニュシウスをサン=ドニと呼ぶことから、代々の国王が埋葬されているサン=ドニ大聖堂や、サン=ドニという街の名前の由来になっています。
よって、この「モンジョワ、サン=ドニ!」を日本語で例えるなら、国の守護神的存在(当時)である「天皇陛下万歳!」がしっくり来るんですよね。
フランス最古の叙述詩『ロランの歌』に登場


フランス最古の叙事詩『ロランの歌』(11世紀末)のなかで 「モンジョワ、サン=ドニ!」 が使われています。
『ロランの歌』とは、シャルルマーニュ(カール大帝とも呼ばれる)の甥(おい)であるブルターニュ辺境伯ローランを称える叙事詩のこと。
内容はイベリア半島におけるイスラム勢力との戦いを舞台とし、英雄ロランの活躍を物語にしたものです。
イギリスの「アーサー王物語」とともに、騎士道物語の代表的な存在で、トゥルバドゥールのような吟遊詩人によって語り伝えられ、宮廷文化に花を添え、後世のキリスト教戦士たちを奮い立たせたました。


- シャルルマーニュ – フランク王国の王、カール大帝。
- ロラン – 物語の主人公。シャルルマーニュの甥。フランク王国の辺境伯。十二勇将のひとり。愛剣はデュランダル。勇猛だが、騎士としての矜持が災いし、十二勇将を破滅へと導く。
- オリヴィエ – フランク王国十二勇将のひとり。ローランの親友。
- テュルパン – フランク王国ランスの大司教
- マルシル王 – イベリア半島を支配するイスラム王国の王。
現代フランスで「モンジョワ」を使った事件
「モンジョワ」という言葉は中世フランスで使う掛け声だったので、21世紀の現代では使いません。
しかし、2021年6月にフランス共和国大統領エマニュエル・マクロン氏が「モンジョワ!サンドニ!」の掛け声とともに、一般人に平手打ちされるという事件がありました。
マクロン仏大統領を平手打ちの被告、禁錮4カ月
タレル被告は平手打ちをした時、「モンジョワ、サン=ドニ! マクロン主義を打倒せよ」と叫んでいたとされる。「モンジョワ、サン=ドニ」とは、中世のフランス王軍が戦闘で使ったかけ声。
BBCニュース
最近は、右翼思想をかかげる極右の王政主義者たちがこの叫び声を使っているとされています。
フランスの極右思想といえば国民連合RN(国民戦線FNから改名)党首マリーヌ・ルペン氏、イスラム勢力や移民受け入れに反対の姿勢で、テロの多いフランス国内での支持率が上昇中です。
感化される人も多いのかもしれません。
この「モンジョワ!サンドニ」について知りたい方は、フランス人が解説するYoutubeもあります。
まとめ
モンジョワは古い戦いでの言葉でしたが、最近は右翼思想の事件で使用される言葉、ということでした。
フランスでふざけて「モンジョワ」を使ってしまうと、現地のフランス人に変な目で見られる可能性が高いので注意してくださいね。
フランス語って奥が深いですね~!

