フランス語翻訳家になりたいけど、どうすればなれるのかな?
翻訳だけで生計を立てるのは厳しい?
フランス語の翻訳家って憧れるよね!
翻訳者のなり方や必要なスキルを教えるね
この記事ではフランス語の翻訳家になる方法について解説します。
フランス語の翻訳家という職業はとても狭き門で、英語翻訳家に比べると需要が少なく、フランス語翻訳一本だけで生計をたてていくのは簡単ではありません。
ですが、フランス語翻訳の単価は英語より高いことや、専門分野に特化すれば継続的に大きなお仕事を受注できる可能性もあるため人気のある職業です。
わたしは20代の頃にフランス企業の会社概要や宣伝用資料の翻訳経験がありますが、自分の得意な分野に特化して継続的に経験を積むとフランス語翻訳家としてのキャリアが開きやすいと感じます。
そこで、フランス語翻訳家の仕事内容や、フランス語翻訳家になるために必要なスキルをお伝えしていきますね。
フランス語翻訳家の具体的な仕事内容
- 日仏公的機関の書類の翻訳
- フランスの法律条文の翻訳
- 戸籍抄本と卒業証明書
- 日仏のパンフレット
- 商品の名前、キャッチコピー
- マニュアル・仕様書・図面
- 書籍・漫画の翻訳
- 字幕翻訳
日本人がフランス語翻訳家として請け負う仕事はいったいどんなものがあるのか、具体的な内容をまとめました。
それぞれ見ていきましょう。
日仏公的機関の書類の翻訳
フランス語翻訳の仕事で多いのは公的機関からの依頼です。
具体的には、姉妹都市間の協定書や覚書などの書類が挙げられます。
公的機関がクライアントだと未払いの心配がなく、いったんコネクションができれば継続的にお仕事をもらえる可能性があります。
フランスの法律関係の翻訳
フランスの法律条文の翻訳は「法律翻訳」「リーガル翻訳」とも呼ばれ、法令条文、訴訟文書、公正証書、公文書、証明書、契約書裁判などの翻訳がメインです。
おもに裁判所から依頼されるケースと、民事関連(結婚離婚・遺産相続など)のお仕事に大別されます。
法律事務所で請け負う場合や、個人(個人事業主)としてリーガル翻訳家として受注することができます。
なお、フランスに住んでいて法定翻訳者として法律業務をメインに請け負う場合は、フランスの控訴院が作成している司法鑑定人のリストに登録してもらう必要があります。
戸籍抄本と卒業証明書
日本からフランスへ留学または研修に行く際に必要となる公的書類のフランス語翻訳です。
留学や研修・海外転勤、海外移住でフランスへ渡る人には必須の公的書類なので、学業や仕事で長期的にフランス渡航する人がいる限り需要があります。
また、日本へ留学するフランス語圏学生の卒業証明書や成績証明書などの外国語文書を翻訳する認証翻訳も増加傾向にあります。
宣伝用のパンフレットや商品名・キャッチコピーの翻訳
観光パンフレットや工場施設のパンフレット(会社概要や説明書)です。
フランスの観光施設で置いてある日本人向け日本語パンフレットや、観光以外でも工場や浄水場の日本語パンフレットを作成します。
企業の新商品開発や広告宣伝用にフランス語の名前にちなんだ商品名やキャッチコピーの翻訳もありますね。
同様に公式ホームページやチラシ、会社概要の翻訳もあります。
会社概要の仏日翻訳はやったことあるよ!
マニュアル・仕様書・図面
日本産の製品のマニュアルや仕様書、図面などの翻訳は「工業翻訳」という分野になります。
コンシューマー(消費者)向けに書く製品使用マニュアルや、仕様書、図面には専門用語も必要になるので、工業翻訳分野での経験や専門知識があると有利です。
書籍や漫画の翻訳
フランス語で書かれた書籍や漫画を日本語に翻訳するのは「文芸翻訳」という分野です。
翻訳の対象はフランス語の実用書や小説がメインになります。
なお、日本語で書かれた書籍をフランス語翻訳するのは、日本語に詳しいフランス人がフランス現地で担当することが多いです。
映像翻訳(吹き替え・字幕)
フランスで公開されたフランス映画やフランスのテレビ番組を日本語に直す「映像翻訳」です。
日本語吹き替えや日本語字幕、ボイスオーバーの翻訳原稿を作成するお仕事です。
フランス語翻訳家になるのに必要なスキル
- フランス語の能力
- 日本語力とセンス
- 営業力
- 専門分野の知識
プロのフランス語翻訳家として仕事を受注し生計を立てるには、以下の能力が必要になります。
フランス語の能力
日仏翻訳なのか仏日翻訳にもよりますが、基本的にはどちらも出来たほうがお仕事の可能性が広がります。
翻訳対象であるフランス語の能力はフランス語検定準1級以上が最低条件。
プロとしてフランス語翻訳家になるのなら、仏検1級レベルが望ましいです。
以前にわたしが翻訳した時は社内に仏検準1級取得者が私だけだったから仕事が回ってきたよ!
日本語のセンスと表現力
日本語の力というと曖昧ですが、具体的には以下ですね。
- 正しい日本語運用能力
- 日本語の豊かな表現力
- 日本語の語彙力
日本人だからといって日本語が完璧な人は少数です。
翻訳家というのは言葉を扱う仕事なので、日本語に対する感受性は鋭く保ちたいところです。
とはいえ文芸翻訳以外であれば、文学的な表現を駆使しなくても大丈夫。
間違えやすい慣用句(言い回し)の正しい使い方や、漢字の送り仮名に注意しましょう。
営業力
翻訳家という仕事は一定の需要がありますが、入れ替えが激しくない職業なので、新参者が入りにくい仕事でもあります。
基本的にはフリーランス(個人事業主)という形式で働くので、定年や退職という概念もありません。
何歳になってもスキルさえあれば自宅で働けるので、ベテランの翻訳家から仕事を分けてもらう(奪う)には、運とコネも必要になってきます。
すぐに受注できなくても諦めない忍耐力や、人当たりの良さ、メールや電話でのレスポンスの速さなどもフランス語翻訳を受注できるかどうかに関わってきます。
専門分野の知識
とくに工業翻訳では専門分野への興味や経験があると格段に翻訳のしやすさが違います。
IT業界や製造業界、土木業界でのフランス語翻訳が比較的多い印象なので、専門用語や機器・業界への理解度があると強みになります。
AI自動翻訳では不十分!フランス語翻訳家はいまも必要です
AI技術による自動翻訳は日々進化していますよね。
たしかに短い単語やフレーズは自動翻訳が十分可能です。
が、ビジネス交渉、契約書、民事裁判などで誤解のない意思疎通を希望するのであれば、翻訳家の存在はいまもなお必要と言えるでしょう。
とくに企業間の買収に関する合意書や、契約書、財務書類などは多額の資金が動くため、自動翻訳による失礼な表現や、意味不明な表現、稚拙なイメージを避けるためにもプロの翻訳家に任せたい企業が多いのはうなずけますよね。
また、会社登記簿や定款などの法定翻訳は、きちんと身分が精査された法定翻訳者による翻訳が必要になります。
フランス語翻訳家になるためのステップ
フランス語翻訳家になるためには、かつては翻訳事務所のトライアルを受けるくらいしか登竜門がありませんでした。
ただ現在ではクラウドソーシングサイトでもかんたんな翻訳業務を受注することができます。
正しくフランス語翻訳ができるのが前提になりますので、まずは仏検1級を取ってからが本当の勝負ですね。
仏検準1級が取得できたあたりからココナラやストアカに登録して、お仕事が受注できるように準備しておくと良いですね。
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まとめ:フランス語翻訳家になるには
フランス語の翻訳家になるために知っておくべき仕事の内容と必要なスキルをご紹介しました。
2022年現在ではAI技術の進歩があるとはいえ、完全に翻訳という仕事が取って代わられることはありません。
特に法定翻訳などは国が必要としているのですぐに仕事がなくなることは考えにくいですよね。
ただ、フランス語翻訳だけに絞ると仕事の全体量が少ないので、特定の専門分野の知識や、英語翻訳もできるなら仕事の幅や可能性は広がるのは事実です。
フランス語翻訳者のお仕事は在宅で定年後でも個人で稼げますし、キャッチコピーなどであれば空いた時間に副業としてできるのが魅力なので、ぜひフランス語学習の目標のひとつに据えてみて欲しいなと思います。